中学受験の国語を伸ばすには?
結局、「本人の気づき」と「好きな物語」に勝る学習法はない
ロジカルAIスクール(ロジスク)代表の川島優貴です。
「中学受験の国語がとにかく伸びない」
「読解力・記述力を鍛えたいのに、何をやっても手応えがない」
そんなお悩みを、保護者の方から本当によく伺います。
正直に言うと、
私は中学受験のとき、国語が本当にできない子どもでした。
- 中学受験塾:四谷大塚 お茶の水校
- 小4〜小6の国語偏差値:40台前後をウロウロ
原因ははっきりしています。
「読みたくもない本を、親と塾の先生から渡され、
強制された結果、国語そのものを嫌いになったから」です。
最初に渡されたのが、ある有名な読書教材の本。
読みたくない気持ちのまま「読みなさい」と押しつけられた結果、
本=苦痛というイメージが完全に固まってしまいました。
以後、文章は
「意味のある世界」ではなく、
「文字の羅列」にしか見えませんでした。
これは、小学6年生の秋まで変わりませんでした。

きっかけは2つだけだった
①「こんなことで人生を終わらせたくない」という感情
② 星新一のショートショートとの出会い
あまりにも国語ができず、
あまりにも親に怒られ続けた結果、
小6の秋ごろ、ふと頭をよぎったことがあります。
「なんで、こんなことで死ななきゃいけないんだ?」
もちろん本当に行動に移したわけではありませんが、
そのくらい追い詰められていたのは事実です。
ただ、そのときに生まれた感情は
絶望というより「怒り混じりの自我」でした。
「こんなくだらない理由で、
自分の人生を終わらせるなんて、絶対に嫌だ。」
この「自分の気持ちに気づいた瞬間」から、
少しずつですが、文字に意味が伴うようになっていきました。
そこに重なるように出会ったのが、
星新一のショートショート集です。
- 1話が短い
- 難しい言葉は少ない
- でも、皮肉や人間の感情がギュッと詰まっている
不思議なことに、
星新一だけは「なんとなく意味が分かる」感覚がありました。
「あ、この人はこういう気持ちなんだろうな」
「このオチ、ちょっと面白いな」
そうやって、人の気持ちや物語の構造を
少しずつ感じ取れるようになっていったのです。

この2つが転機となり、
中学受験本番ではなんとか国語偏差値50前後まで持ち直し、
他の得意科目(社会・算数)のおかげもあって、
いくつかの中学に合格することができました。
それなのに、中学・高校の現代文は「ほぼ90点以上」だった話
ここまで読むと、
「じゃあ中学生・高校生になってからも国語は苦労したのでは?」
と思われるかもしれません。
ところが、実際は逆でした。
中学・高校の現代文では、ほぼ毎回90点以上。
むしろ得意科目になっていました。
なぜか?
理由はシンプルで、
「授業で扱った文章を、
普通に理解してテストに臨んでいただけ」
だったからです。
- どんなストーリーだったか
- 登場人物はどんな気持ちだったか
- 筆者は何が言いたいのか
これさえ押さえておけば、
「書いてあること」と「聞かれていること」に
当たり前に答えるだけのテストです。
では、なぜそこまで変われたのか。
高校時代、「ライトノベル×アニメ」で文章世界を掴んだ
きっかけは、高校時代のある“ブーム”でした。
私が高校生の頃は、
『涼宮ハルヒの憂鬱』『けいおん!』などのアニメが広まり、
その原作である
ライトノベル(ラノベ)が一気に流行していた時代です。
※ライトノベルとは
若者向けの小説で、
会話が多くテンポも速く、
挿絵付きで読みやすくしたエンタメ小説のことです。
「立派な文学作品」ではないかもしれません。
でも、読みやすくて、とにかく面白い。
私はライトノベルを読みまくりました。
そして、こういう循環が生まれました。
- まずアニメを見る
- 続きが気になって、原作ライトノベルを読む
- アニメで見た世界観・声・背景を思い出しながら文章を読む
- 「この描写は、あのシーンを言葉にしたものか」と対応づけられる
ここで、とても大事なことが起きています。
国語で一番難しいとされる「頭の中で想像する」作業の
一部分を、アニメが肩代わりしてくれていたのです。
- 世界観
- キャラクターの性格
- 声
- 空気感
こうした要素を映像として知ったあとに文章を読むことで、
「文章 → 映像」への橋が自然に架かっていきました。

その結果、
- 文章を読むスピードが上がる
- シーンを頭の中で再生しやすくなる
- 「この一文って、あの感情を表してるよね」とわかる
という力が身につき、
現代文のテストは「書いてあることに素直に答えるだけ」と
感じられるようになっていったのです。
中学受験の国語を伸ばすために、
親ができる3つのポイント
ここまでの話を、
中学受験の「国語の学習法」として整理すると、
次の3つに集約されます。
① 嫌いにさせないことが、スタートライン
最初に私がつまずいたのは、
- 読みたくない本を
- 親と塾の先生から
- 「中学受験のために」と押しつけられたこと
でした。
その瞬間、
本=強制=苦痛になりました。
中学受験の国語を伸ばすには、
「何を読ませるか」よりも先に、
「どうやって読書と出会わせるか」
がとても大切です。
- 親が「これはいい本だから」と選んだものより
- 子どもが「なんか面白そう」と手に取ったもの
のほうが、圧倒的に吸収されます。
② 読むきっかけは、なんでもいい(アニメ・マンガ・ラノベ歓迎)
「そんなこと言っても、うちの子は本を読まない」と
思われるかもしれません。
でも、きっかけは何でもいいのです。
- アニメから入る
- マンガから入る
- ライトノベルから入る
ストーリーを楽しむ経験が積み重なれば、
その先で必ず「文章」につながります。
ポイントは、
- 「それって勉強になるの?」と否定するのではなく
- 「へえ、どういう話なの?」と興味を向けてあげること
です。
③ 「読む」だけでなく、「話す・書く・作る」までつなげる
国語力=読解力・記述力を伸ばすには、
- 読む
- 思う
- 言葉にする
という3ステップが必要です。
- 読んだ物語の感想を、
親子で会話するだけでも十分なトレーニングです。 - 「このキャラって、どこが好き?」
- 「一番印象に残った場面は?」
- 「自分だったらどうする?」
こうした質問を投げかけるだけで、
子どもは自然に「自分の言葉」を探すようになります。

そして今は、「AIで物語を自分で作る時代」
昔の私は、
アニメ → ライトノベル → 現代文
という流れで国語力を育てていきました。
今の子どもたちには、
そこにもう一つ、大きな武器が加わっています。
それが「AI」です。
- AIにオリジナルキャラクターを一緒に考えてもらう
- そのキャラが活躍する物語をAIと一緒に作る
- 途中まで作った文章をAIと一緒に推敲する
- 「この表現と、この表現はどう違うの?」とAIに質問する
こうした活動を通じて、
- 読む
- 想像する
- 話す
- 書く
- 作り直す
まで、一気通貫で体験できます。
AIを使って楽をするのではなく、
AIを使うことで「より多く考えられる子」が伸びていく。
私はそう考えています。

ロジスクが大事にしているのは、
「きっかけは何でもいい。本人の気づきを育てる」という姿勢
ロジカルAIスクールは、
中学受験の直接的なテクニックを教える塾ではありません。
でも、
- 子どもが「自分で気づく瞬間」を大切にすること
- 好きな物語やキャラクターから学びを広げること
- AIを相棒に、「読む→考える→言葉にする→自分で作る」を回すこと
を通じて、
国語の土台である「読解力・言語化力・想像力」を育てています。
きっかけは、本当に何でもいいのです。
- 一冊の歴史漫画かもしれない
- 一つのアニメかもしれない
- 一つのAIとの対話かもしれない
大人ができるのは、
それを「ダメ」「ムダ」と切り捨てるのではなく、
学びにつながるように導いてあげることだと思います。
中学受験の国語でお悩みの方へ。
- まずは「嫌いにさせない」こと
- そして「好きな物語から入る」こと
- さらに「読む→話す→作る」までつなげること
この3つを意識してみてください。
ロジスクは、そのプロセスを
AIを活用しながら一緒に伴走する教室です。
著者:川島優貴(ロジカルAIスクール代表/AIパートナーズ株式会社 代表取締役)